消防設備点検が終わり、業者から渡された報告書に「不良」の文字があった。そんなとき、「すぐ直さないといけないのか」「いくらかかるのか」「誰に頼めばいいのか」と迷う方は多いはずです。この記事では、点検で不良を指摘された建物のオーナー・管理者の方に向けて、よくある不良の例、放置した場合の扱い、改修までの流れ、費用の考え方、岡山市での届出先を順に整理します。
点検で指摘されやすい「不良」の例
点検では、設備ごとに正常に機能するかを確認し、結果を「良」「不良」で判定します。不良とされる内容は建物によってさまざまですが、例えば次のようなものがあります。
| 設備 | 指摘の例 |
|---|---|
| 自動火災報知設備(感知器・受信機) | 感知器が反応しない、受信機に故障表示が出る、間仕切り変更で感知器が無い部屋ができている |
| 非常ベル・放送設備 | ベルが鳴らない・音が小さい、押しボタン(発信機)の不具合 |
| 消火器 | 本体のサビ・変形、圧力ゲージの異常、製造から年数が経っている |
| 誘導灯 | ランプが点かない、停電時に点灯させるためのバッテリーが劣化している |
| スプリンクラー設備・屋内消火栓 | ヘッドの周りに物が置かれて散水の妨げになっている、ホースや部品の劣化、ポンプの不具合 |
この中には、物を移動するだけで解消するものもあれば、部品交換や配線工事が必要なものもあります。まずは報告書の不良内容を一つずつ確認し、「何が、どこで、どう悪いのか」を業者に説明してもらうことが出発点です。
不良を放置するとどうなるか
点検結果はそのまま消防署へ報告される
消防設備点検の結果は、消防法第17条の3の3にもとづき、建物を管轄する消防長または消防署長へ報告することになっています。不良が残ったままであれば、報告書にもその内容が記載された状態で提出されます。報告の頻度や提出先については、消防設備点検の結果報告書はどこに出す?消防署への報告義務を解説をご覧ください。
消防署からの指導、さらには命令の対象にも
消防法第17条の4では、消防用設備等が基準どおりに設置・維持されていないと認めるとき、消防長または消防署長は建物の関係者に対して、必要な措置をとるよう命じることができると定めています。命令が出された場合は、標識の設置などでその旨が公示されます(同条第3項で準用する第5条第3項)。
さらに、この命令に違反して維持のための措置をとらなかった場合は30万円以下の罰金または拘留(第44条)、命令に違反して設備を設置しなかった場合は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(第41条)の対象となり得ます。
実際には、いきなり命令や罰則に進むことは少なく、まずは消防署からの指導が入るのが一般的とされています。ただ、罰則以上に重いのは、火災のときに設備が働かず被害が広がるリスクです。点検そのものを放置した場合のリスクは、消防設備点検を放置するとどうなる?3つのリスクを具体的に解説で整理しています。
改修までの流れ
1. 報告書の不良内容を確認する
最初に、点検業者から不良箇所の場所・内容・原因の見立てを聞きます。点検の場で部品交換などの対応を済ませている項目もあるため、「すでに措置済みのもの」と「これから改修が必要なもの」を分けて把握しておくと、その後の見積もりが比べやすくなります。
2. 見積もりを取る
改修の見積もりは、点検をした業者に依頼するのが手早い方法です。ただし、点検と改修を同じ業者に頼まなければならないという決まりはありません。金額や工事内容に疑問があれば、ほかの業者にも同じ不良内容を伝えて見積もりを取り、比べることができます。
3. 工事を行う
自動火災報知設備やスプリンクラー設備、屋内消火栓設備などの工事・整備の多くは、消防設備士の免状を持つ人でなければ行えないと定められています(消防法第17条の5、消防法施行令第36条の2)。ホースやノズル、ヒューズ類の交換などの軽微な整備は例外です(消防法施行規則第33条の2の2)。
また、設備の新設や増設など「設置に係る工事」に当たる場合は、工事に着手する10日前までの着工届(消防法第17条の14)や、工事完了から4日以内の設置届と消防の検査(消防法第17条の3の2、消防法施行規則第31条の3)が必要になることがあります。届出が必要な工事かどうかは、依頼する業者に確認しましょう。
4. 改修後の記録を残し、次の報告につなげる
改修が終わったら、どの不良をいつ、どう直したかの記録(見積書・請求書・作業報告書など)を、点検報告書の控えと一緒に保管しておきます。次回の点検で改修後の状態が確認され、その結果が次の報告に反映されます。
改修費用はどう決まるか
改修費用については、国や自治体が公表している相場データがありません。金額は建物と設備によって大きく変わるため、この記事では具体的な金額は示さず、費用が決まる主な要素を挙げます。
- 部品交換で済むか、本体ごとの交換か:感知器1個の交換と、受信機の入れ替えでは工事の規模がまったく異なります。
- 対象の数と場所:交換する機器の数、天井の高さ、住戸内など立ち入りに調整が必要な場所かどうか。
- 配線・配管の工事が伴うか:機器の交換だけか、配線の引き直しや配管の補修まで必要か。
- 作業の時間帯:営業中の店舗などで、夜間や休日の作業が必要になる場合。
- 届出書類の作成:着工届・設置届などの書類作成を含むかどうか。
見積書を受け取ったら、「機器代」「工事費」「諸経費」「届出の代行」などが分けて書かれているかを確認しましょう。「改修工事一式」とだけ書かれた見積もりは、他社と比べることができません。点検費用の目安や内訳の見方は、消防設備点検の費用相場はいくら?建物用途・規模別に解説もあわせてご確認ください。
なお、テナントが入るビルでは、改修費用を所有者とテナントのどちらが負担するかが問題になることがあります。賃貸借契約や管理委託契約の記載を先に確認しておきましょう。
岡山市での届出・報告先
岡山市内の建物の場合、消防設備に関する届出や報告の窓口は、建物を管轄する岡山市消防局の各消防署です。岡山市の公式サイトでは、着工届・設置届などの様式とあわせて、提出先として次の5つの消防署が案内されています。
| 消防署 | 所在地 | 電話 |
|---|---|---|
| 北消防署 | 岡山市北区鹿田町二丁目4-1 | 086-226-1119 |
| 西消防署 | 岡山市北区野殿西町427-1 | 086-256-1119 |
| 中消防署 | 岡山市中区今在家地先 | 086-275-1119 |
| 東消防署 | 岡山市東区西大寺南一丁目2-4 | 086-942-9119 |
| 南消防署 | 岡山市南区浦安南町495-88 | 086-262-0119 |
岡山市の案内では、日程の調整などが必要なため、提出前に近くの消防署へ問い合わせるよう求められています。
また、消防署の立入検査で指摘を受けた場合に使う「改修結果(計画)報告書」の様式も、岡山市の公式サイトで公開されています。立入検査結果通知書に書かれた指摘事項ごとに、改修の結果や予定を記入して消防署長あてに提出する形式です。立入検査で指摘を受けた方は、通知書の内容とあわせて確認してください。
改修を頼む業者選びのポイント
- 消防施設工事の対応範囲:点検だけを行う業者もあれば、設計・施工・改修工事まで行う業者もあります。不良の内容に合った工事ができるかを確認します。
- 有資格者の在籍:工事・整備をする設備の種類に対応した消防設備士がいるか。
- 見積もりの内訳:機器代・工事費・諸経費・届出代行が分かれているか。
- 届出の対応:着工届や設置届が必要な工事の場合、書類の作成や提出を任せられるか。
- 急がせない説明:「今日中に契約しないと罰金」など、不安をあおって即決を迫る業者には注意が必要です。
比較の手順は消防設備点検業者の選び方|見積もりで比べる5つのポイントも参考にしてください。
岡山市内に拠点を置く業者は、岡山市の消防設備点検業者一覧で事業内容や資格者の在籍状況とあわせて比較できます。
まとめ
点検で「不良あり」と指摘されたら、まず報告書で不良の内容を確認し、措置済みのものと改修が必要なものを分けて把握します。不良を放置すると、報告書に不良が残ったまま消防署へ報告され、指導や、場合によっては消防法第17条の4による命令の対象にもなり得ます。改修費用は建物と設備によって大きく変わるため、内訳の分かる見積もりを取り、必要であれば複数社で比べましょう。岡山市内の建物であれば、届出の窓口は管轄の消防署です。
よくある質問
Q. 点検をした業者とは別の業者に改修を頼んでもよいですか?
A. はい。点検と改修を同じ業者に頼まなければならない決まりはありません。別の業者に頼む場合は、点検報告書の不良内容を見せて見積もりを依頼するとスムーズです。
Q. 改修が終わったら、消防署に何か提出する必要がありますか?
A. 工事の内容によります。設備の新設・増設などに当たる工事では、着工届や設置届が必要になることがあります。また、消防署の立入検査で指摘された事項であれば、岡山市では「改修結果(計画)報告書」の様式が用意されています。どちらにも当たらない部品交換などの場合でも、次回の点検報告に改修後の状態が反映されるよう、作業の記録を保管しておきましょう。
Q. 一度にすべて直す予算がありません。どうすればよいですか?
A. まずは業者に、不良のうち火災時の安全に直結するものはどれかを聞き、優先順位をつけて相談してみてください。消防署から指導を受けている場合は、改修の予定を消防署に相談しておくことも大切です。
岡山市内で改修工事を相談できる業者
当サイトに掲載している岡山市内の業者のうち、工事・修繕にも対応している業者をご紹介します。対応できる工事の範囲や費用は、各社に直接ご確認ください。
- 三和電設株式会社|岡山市南区。消防用設備の設計・施工・改修工事・点検に対応しています。
- 株式会社まとい|岡山市北区。消防設備の法定点検・取替・修繕を行っています。
- 株式会社岡山防火管理センター|岡山市北区。消防用設備等の設置・施工から整備・保守まで手がけています。
岡山県内で消防設備点検を依頼できる業者をお探しの方は、岡山県の消防設備点検業者一覧で料金・対応エリアを比較できます。


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